トレーラーハウスを仮設住宅として使用する?

 熊本地震被災地への支援が高まる中で、仮設住宅にトレーラーハウスの利用が提案されています。良いアイデアだと思います。

 アメリカでは災害時にトレーラーハウスを使用しているという記事もありますが、アメリカと日本では国土も道路事情も違います。現実的に日本での災害での使用はどうなのか考えてみました。

 

メリットとしては

・短時間で設置ができる。

仮設住宅に比べて設置及び撤去に係る費用が少ない。

・使用しない時はキャンプ地などで活用できる。

 

しかし、トレーラーハウスを仮設住宅と使用するためには、様々な条件があるようです。

・輸送する条件

 輸送費は3.5m*11mの軒で輸送距離400kmにつき588,000円(被災地368,000円)

 道路直線4m以上の幅員、カーブ等は7m又は交差点では双方7m以上の幅員が必要。

 通行は基本的に夜間となり、道路上の電話線や看板等の確認も必要。

 トレーラーハウスを一軒の輸送にはトラクタ&トレーラー(ヘッド車)一台が必要。

 階段、デッキ等、ジャッキ固定は別途料金。

 

 また、仮設住宅として使用する期間にもよると思うのですが、避難生活が長期化するほどライフライン等の設備は必要になると思います。ライフライン等ですが、電気や電話の設置は短期間で行えると思いますが、水回り関係は時間を要すると思います。おそらく仮設住宅を設置するうえで最も時間と費用を要するのではないでしょか?

 トレーラーハウスはどうなのかはわかりませんが、キャンピングトレーラーは給水タンクと排水タンクは満タンになれば人力で処理します。またトイレを使えば汚物タンク内の処理も必要です。つまりトレーラーハウスでも仮設住宅でも「置くだけ」だけなら直ぐできますし費用もかかりません。ただし、毎日、水を汲みに行き排水を捨て汚物処理をしなければなりません。避難者が多くなるほど水等を汲むために列ができるはずです。そうなると給水工事すれば必然的に浄化槽や下水などの排水工事も必要になり、仮設住宅の設置には時間がかかってしまいます。また、キャンプ地等で使用しているトレーラーハウスを移動するにはライフラインの取り外しの費用も必要になるでしょう。

 

 仮設住宅でキャンプをするのではなく生活するのです。災害時のトレーラーハウスの仮設住宅の使用は、一か月程度の短期間であれば有効だと思います。東大震災から5年が経過した今も、多くの被災者が仮設住宅での生活をしていることを考えれば、トレーラーハウスを仮設住宅として使用するにはライフラインの設備は必要です。

移動式の大型貯水槽と浄化槽があれば、トレーラーハウスやキャンピングトレーラーの仮設住宅としての長期利用は高まるように思います。

 

 仮設住宅は建設や撤去に費用がかかりすぎるという意見もありますが、災害時以外は他の場所に保管しなければなりませんし劣化もします。仮設住宅をリサイクルで使用するには、日常点検をし補修をしいつでも確実に使える状態に管理する必要があります。しかし、新築の仮設住宅なら部材の調達だけで済みます。

あなたが被災し全てを失い、避難生活の後でやっと仮設住宅に住むことになったときに、リサイクルの仮設住宅で外壁は錆があり内壁も汚れキッチンも古びていたら酷く悲しくなりませんか?しかも生活してみれば、いろいろな雨漏りや電化製品等の不具合が発生したらどうでしょう?新築の仮設住宅なら少しは気持もホッとするでしょうし、不具合が発生する確率も少ないでしょう。また仮設住宅の部材も日々進化しています。

 トレーラーハウスも同様で日常の点検や管理は必要です。キャンプ地で使用した物を被災者へ貸し出す場合は室内クリーニングも必要でしょう。そしてまた、キャンピングカーもキャンピングトレーラーも日々進化し便利に快適になっています。

 

 私は、トレーラーハウスによる支援は否定はしません。良いアイデアだと思います。ただ、仮設住宅として使用するにはクリアしなければならないハードルもあるのではないかな?と思い素人の未熟な知識で述べてみました。また、被災地への支援で大切なことは、一過性の支援ではなく被災地や被災者の方々が復興するまで支援を続けることです。募金もそうですが、産地品等を購入するのも復興へのお手伝いになります。今、被災地で何を必要としているか、復興へ向けてどのように取り組んでいるか、応援できればと思います。そして、災害への備えをするのは自分自身であり、備えは自分自身を守り家族を守ることになります。

 

内閣府から応急仮設住宅について概要がありましたので参考にまでに・・・

http://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/sumai/sumai_5.pdf

 

ちなみに、私も実家の敷地内にトレーラーハウスを検討しましたが、道路幅とカーブがきつい箇所があり、ヘリで輸送するしかない?と言われ断念し一般住宅を建てました。